受け継ぐ『もの』

受け継ぐもの。


先日スポットでお邪魔させていただいたすまいは、祖父が建てさせていただいたもの。確かではないのですが、多分大竹工務店の初代が手がけたすまい。


そんなすまいのほんと小さな作業。

○雨戸の戸車の補強

○ドアの下地の下地の再固定


それらは小さい、些細なことかもしれないけれど、すまいてさまにとっては日常に直結する大切な部分。


不具合の原因は、経年による変化。


すまいとは定期的なメンテナンスと、すまいての見守りが大切なんだと感じます。


集落も一緒で顔を会わせることはありましたが、直接お邪魔することも、作業することもなく過ごしておりましたが、ご厚意で今回作業させていただきました。


すまいに入るなり、風格漂うすまいは、とても重厚で、趣がある雰囲気。すまいが歳を重ねてすまいてさまに馴染んでそこに存在しておりました。


なんだか…。感動です。

自分は4代目。このすまいを手掛けたのが初代。言葉は交わすことはできませんが、すまいには存在した証がある。材木1本1本、運んだり、転がしたり、墨付け(印つけ)したり、刻んだり、調整したり、…。確実に想いを込めたものが存在しております。


またそのすまいが大切に、今も存在し、お手入れをしてもらえていること。旦那様に、言葉少なげに『おじいちゃんが建てたんだよ』と伝えてくれた。


嬉しくもあり、気の引き締まる想いが強くなりました。

こんにちは。

茨城県かすみがうら市の大工工務店の大竹俊光です。


今回のテーマは、引き継ぐ『もの』ということでまとめ、ブログを書かせていただきました。


その中には、様々な想い、行動があります。それらを少しだけですが、お伝えできればと思っております。


冒頭でも書かせてもらった『すまい』も受け継ぐもののひとつ。


それは、やりますと立候補して、ずけずけとやれるものではなく、すまいてさまから声をかけていただいてできるもの。


自分にとっては、それはとてつもなく難しく、奇跡のように感じるもの。


年月が過ぎていくと、すまいに対して気持ちが落ち着いていくもの。生活していて、大丈夫だろうと見て見ぬふりをしてしまう。とか


代が変わると、誰がたてたかよりも、近くの親切な方へ…。営業にこられたからとか、ホームセンターなどで自分で…。無理だからホームセンターにお願い…。等々もある。


継続的にご挨拶をして忘れないでもらいながら…。等もあるけれど、代が代わり人間も変わって不安などもある。


そんな中で、幾重にも重なったハードルを超えて声をかけていただけたこと。


だからこそ感動で、だからこそ気の引き締まる想いなんです。


先祖に認めてもらうことは容易いことではないけれど、常に気を引き締めて自分なりの精一杯な行動をしていく決心が、改めて強く感じました。

受け継ぐ『もの』として、作業場ーー工房も。


この工房は、二代目が建ててくれたもの。


当時としては珍しかった鉄骨造。


高さも高く、よく使われる4mの材料が余裕で立てられる高さ。広さも広くとても使いやすいもの。


建ててからとても忙しく、メンテナンスをしている暇がないほど現場や、すまいてさまのすまいを手掛けてきた。空いた少しの時間にメンテをしているので、継ぎ接ぎだらけ。みためより、スピード重視、保護できることがメインで…。駆け抜けてこられたんだなぁ。


なんて感慨深いものを感じます。


小さい頃はなんでこんなに継ぎ接ぎなんだろう。綺麗な作業場がいいなぁ。なんて思ったこともありましたが、仕事をし始めて...初めて気がつく。


受け継いでいただけたことへの感謝を強く感じます。

受け継ぐ『もの』のひとつ…材木


これらは、メインが3台目である先代。


現場で必要なものとあわせて在庫したり、材木屋さんに行き、これっといったものを先物買いしり、これはこんな風に使えるという材料や、まとめ買いしてスピーディーに対応するための在庫だったりと、ひとつひとつが理由があり存在する材料。資源なんです。


中には、2代目や、初代の頃のものまで。


それらは、存在するものではいけなくて、生きる資源なんです。


それを置物にするのか、資源にし、命を全うしてもらうのかは、今にかかっているんです。


どこに何があるは、伝えられるものではなく、自分が手に取り、眼を通し、寸法を計り、整理し、記することで、命の可能性を高めることが必要なんです。


だから、今回は時間をかけて、隅から隅まで、、ひとつひとつ手に取り、整理してきました。


言葉にすると「棚卸し」になりますが、自分の気持ちは先輩方の存在した証を見せていただいたり、想いを感じる時間だと強く感じておりました。


材木の裏側には、絵図板。型板がある。


大切に扱われてきた希少な木材もある。


多くの込み栓、金物。


様々な年代で、必要なものが、想いが詰まったものが溢れておりました。

受け継ぐ『もの』のひとつ…道具


それは、手の道具や、大型機械など数えきれないほど。


それら全てが、大切に扱われ使われてきたもの。


それらは、古いから、古ぼけるものではなく、使い、お手入れすることで手に馴染み、癖がわかり、徐々に自分の手の代わりになっていくもの。


だからこそ、自分が想いを込めて接すること、メンテナンスする事で、より綺麗なもの、納得のいくものを、効率よく仕上げられるものだとかんがえております。


代々受け継がれた道具たちも、生かすのも、今に、今の自分にかかっているんです。


だからこそ、しっかりと見て、観察して、調べて、道具本来の力を発揮してもらうために行動が必要なんです。

受け継ぐ『もの』のひとつ…技術


直接教えていただいた先代。


また、2代目。


の技術は、数えきれないほど教えていただきました。また、背中を見せていただきました。


それらが全て完全にコピーは…。それでも、今は技術の意図を汲み取り、考え、よりきれいに、より効率的に…。と日々積み重ねております。


技術の受け継ぎは、とても地味で、どうしていいのなわからないことも。


理解はしていても、身体かうまく動かない。


癖がでてしまう。


等々歯がゆい部分が多くあります。


それでも…受け継ぐもののなかで一番大切な『もの』をしっかりと心に、体に、とどめておくことが必要でとてつもなく重要だと感じております。


【想い】


大竹工務店が大切にしている想い。


言葉や、文字でこれというものはない。


伝承してきたものはないけれど、すべてのものから伝わってくる。


自分の体も受け継いだものだとするならば、内側にも存在する。


だからこそ、自分の気持ちに真摯に向き合い、先代や、先祖の方々を、真摯に想い行動、思考する事を大切にしております。

大竹工務店 株式会社

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大竹工務店(株)は、茨城県、かすみがうら市に構え、温熱(高気密高断熱)、構造(許容応力度計算による耐震等級3)を核に、すまい(新築、リフォーム、リノベーション)を基本として創り、すまいてさんとしっかりと向き合いながら進めていきたいと想っている大工工務店です。