適当のための300回~耐震補強【城】

こんにちは。


大竹俊光です。


暑い日が続いていますが、ふと自宅の窓の外を見ると柿の木にしっかり実をつけているのが目に入ります。


秋の訪れと共に、時間の流れを感じる。


いつの間にか過ぎていく。


日々、仕事に終われ、時間に終われる日々。


また最近では、地震の不安、台風の不安、自然災害の不安に、落ち着かない時が多い気がします。


精一杯その都度安全のために考え、責任ある仕事のために考えている時間。


目まぐるしく、ときに自分を見失ってしまうほどやることや、考えることが溢れています。


そんな時間の中で、現場では少しずつ耐震補強と、改修工事を進めております。


その中でとてつもなく、牛歩で、時間をかけていること。


すまいてさまには見えないところで作業、納めをしているため、もどかしい時間になっております。


作業を始める前に、シミュレーションや、図面をもとに説明させていただき、了承の上、作業を始めております。

こんなふうに。


それでも作業を進めさせていただいていると、不安になってくるもの。


本当に必要なのか?


やりすぎなんじゃないか?


などなど。


また、生活しておりますので、その中でものを動かしたり、補強するところにものがあったりすると、億劫になってしまいます。


その中で…。


『適当でいいよ。』


とのお言葉。


自分が仕事をしているとよく言われてしまうお言葉。


悩みながら、人よりも時間がかかり過ぎて、心配をおかけしてしまうんです。

時間をかけるからいいものができるわけではない。


しかし、改修の現場では、一筋縄でいくような場面が無いに等しく、適当にはできません。


見た目だけ変えることはできます。


しかし、命を守るために必要な補強となると、力がどのように流れていくのか、納まらない場合は、少し変えて、それでも力を柱に伝えるためにどうしようか、この方がいいのか?金物を変えるのか。


等々様々検討をしながら進めております。

ただ、すまいて様のお気持ちは自分なりに受け止めているつもりです。


お一人だけでなく、ご家族がいらっしゃる。


また、ペットもいらっしゃる。


できるだけ環境を変えないように。


神経を使わないでいいように配慮なんです。


当初提案させて頂いた補強案でもしておりましたが、より多くの配慮を検討するため、再度シミュレーションです。

もう自宅のパソコンの中で【300回以上】すまいてさまのすまいを揺らしております。


倒壊してしまうもの、ギリギリ持ちこたえるもの、完全にたっているもの


それらひとつとして同じ動きはなく、どこの壁が最初に力を受け、地震の揺れを吸収しているのか。


また、受け取りきれなくて壁が壊れていく順番や、木材の引き抜きなど。


微調整を繰り返しております。


目標の優先順位

①すまいてさまの命

②予算

③住まわれている環境の変化を小さく

④見た目

など


全てが大切ですが、しっかりと優先順位を決めて検討しております。


極稀にくるときのことも、普段の生活のことも、お金のこともすべてたいせつなんですよね。


これまで大丈夫なんだから、これからも大丈夫…???


昔からもっているんだから平気…???


綺麗になればいいんだ…???


すまいてさまの言う通りに…???


顔色を伺って、補強案の変更…???


あってはならない。


一時はいいかもしれませんが、


あの時もっとやっておけばよかった…。


もっと強く提案すればよかった…。



…。


災害はいつ起こるかわかりません。起こってから急場しのぎもできません。スーパーマンのように下敷きにされる前に救出もできません。大好きなすまい、大切なすまい、大事に守ってきたすまいでいてもらうために。


いまできる限りのことをします。


誰よりも、このすまいを揺らして検討しています。


全世界で一番このすまいのシミュレーションをしています。


小さな変化を見ながら、補強したり、バランスをとるために抜いたり、検討しているのは自分です。


大切なすまいてさまのため。

もしも、自分のすまいだったら…。

もしも、自分の家族がいるすまいだったら…。


もしも、そんなすまいで過ごしていて、自分だけ留守の時に家族がいるすまいで、大きな揺れに見舞われてしまったら…。


もしも、手を加えず、変わり果てたすまいを目にして、救急隊を要請して、自分の無力さを感じながら、待つしかできない瞬間になってしまったら…。


…。


どうしようもなく無力感を感じると、同時に後悔を感じると思います。


だからこそ、今できることをする。


それだけなんです。


人間の想像をはるかに越えてくるかもしれません。自分では力不足かもしれません。


でも今ある自分の全てをぶつけて納める。


それしかできません。


だからこそやり抜く。やり続けております。


災害が最小限で納まることを願いつつ、来ないことを願いつつ、進めていきます。

大竹工務店 株式会社

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大竹工務店(株)は、茨城県、かすみがうら市に構え、温熱(高気密高断熱)、構造(許容応力度計算による耐震等級3)を核に、すまい(新築、リフォーム、リノベーション)を基本として創り、すまいてさんとしっかりと向き合いながら進めていきたいと想っている大工工務店です。