お客様より、修繕のご希望でご依頼いただきました。
茅葺き屋根。茅葺き職人さんの減少で、今後のメンテナンスを考え瓦に変更するとのご希望でした。
こちらは100年以上形を留め、すまいを見守り続けた門。日差し、風雨、温度、湿度などにも耐えてきていて、一度全解体し、使用できる部分とできない部分を判断し、建替えをすることにしました。
所見では、腐朽が進んでおりますが、そんなにひどくはないだろうと想像して、いざ解体してみると、一番の顔となる大梁にシロアリ被害が大きく広がっていました。
材料は欅で、耐久性、耐水性に優れた材料で、ここまでよく持ちこたえてくれました。という印象です。
下の写真が解体後の大梁の写真です。
柱と袖壁の添えた木材との間に蟻道があり、その間の湿気がシロアリにとって良い環境になってしまい、冠木とその付近の梁にまで被害を広めてしまっていました。
1,2年での被害ではなく、長い期間をかけてこのように広がっていったと思いますが、とても恐ろしく、シロアリの脅威を感じました。
この門ができた頃は、材種、沓石と言って柱の足元を直接土に触れさせないようになど、随所に工夫が見られました。
ただやはり、年月と環境の違い、少しずつダメージは広がってしまいます。
今回のように、気を使い、メンテナンスなどを怠らず、建物と向き合っていただいたおかげで、倒壊することなく、この発見と安心、安全が守られんだと思います。
私達は、シロアリや、腐朽菌などの影響による被害を防ぐため、『ほう酸』を使用しています。
門だけでなく、住宅にも使用しています。
人間には安全で、危険性は、塩と同程度。
ホウ酸塩を水に溶かし、それを材料に塗布します。材料に染み込み気化することなく安定し留まります。(水には弱く、流れやすいのも特徴です。)
以前使用していた防蟻剤は、気化してしまい、住宅に使用すると、室内を汚染してしまう恐れがあること。5年に一度施工が必要になってしまいます。
今回の門の材料にも使用しています。
上の画像がホウ酸塩水溶液です。
それを刷毛で材料に塗り自然乾燥させます。
すべての材料に塗布し、組み上げていきます。
住宅も、今回のような門にも、木部には必ず使う信頼できる材料の一つです。
安心、安全で、お客様を守り続けられる材料を一つ一つこだわり、考え、選んでいます。
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